店内の風景

by まるこさん


 知り合いの知り合いが田舎に店を開いたとというので、行ってみようと前から思っていた。オーナー夫妻は、岡山の生まれだそう。ご主人は、関西のフード業界の会社に長年勤めた後、本格的にコーヒー豆の焙煎技術を学び、2007年に念願だった喫茶店Cafe Ms' を岡山に開いたそうだ。

道に迷わないで、来てね。  私が店に向かったのは夏の終わりのこと。県道沿いの看板を頼りに、脇道に入ると、虫の声がBGMになるような田園の静けさの中に、Cafe Ms' があった。予想以上におしゃれな店だった。こんな静かな自然の中、木の匂いのする家でゆったりと過ごせるのなら、田舎暮らしも悪くないなぁ。

 店はユニバーサル・デザインで、入り口は車椅子で上がれるスロープ、化粧室も広々したスペースだそうだ。躾ができたペットなら同伴OK、オーナーは手話ができるので、ろう者のお客さんにも人気の店だという。

豆の挽き売りもしています。 店に入ってすぐ目につくショーケースには、店の自慢の自家焙煎のコーヒー豆と、手作りの可愛いケーキが並んでいる。
 早くもケーキ・セットに心が惹かれる私…。
 持ち帰りも出来るので、ケーキやピザ、お気に入りのコーヒー豆を家庭でも楽しめるそうだ。

ゆったりとくつろいで下さい。  店はそれほど大きくないのに、杉の木の吹き抜けの天井が広々と感じられる。
 テーブルでは、連れとの会話がはずみ、早くも長居になりそうな雰囲気となる。店があまり人に知られていないのも、かえって穴場となっていい。
親しい人とくつろぎたい時に訪れる、ちょっとした隠れ家として、この店をぜひ覚えておこう。

一杯、一杯、丁寧に淹れてます。  メニューを見れば、この店で飲めるコーヒーの種類は実に豊富だ。今日は店の名前にちなんだ「エムズブレンド」にしたみた。
 コーヒーはオーナーが手ずから淹れてくれる。その仕草に思わず注目してしまう。難しいことは分からないけれど、やっぱり、コーヒーへの並々ならぬこだわりと工夫が感じられた。美味しいコーヒーを飲むためには、それなりの淹れ方ってものが、あるんだろうなぁ。

 さて、「エムズ・ブレンド」は、香りがよく、苦すぎず、深みのある味わいだった。なんと、二杯立てで、キャンドル・ウォーマーと一緒にお代わり分までついている。コーヒーにはいつもお砂糖をいっぱい入れる私が、今日はストレートで飲んだ。何だか、最高の味を変えてしまいそうなのがもったいなくて…。

コーヒーと一緒にぜひケーキをどうぞ。桃のタルトのケーキ・セット。  透明感のあるすっきりした味わいで「きよねブレンド」も人気だそうだ。次回はそれにしてみようかな。あ、でも、桃のミックス・ジュースなんてのも美味しそう…。

 一番のお目当てだったケーキは、甘さ控え目で、ボリュームもあり、期待を上回る美味しさだった!
 それもそのはず、聞いてみれば、やっぱり素材からして違う。気候の温暖な岡山は、元々、果物と野菜の宝庫だ。Cafe Ms' のケーキには、桃やピオーネなど、都会の店ではまず見られないような、岡山の旬の果物が、贅沢に使われている。

 「桃と葡萄は、元同級生が経営している果樹園から仕入れさせてもらってるんです。そろそろ季節が変わりますから、秋には、りんごや鴨梨のタルト、冬にはみかんのタルトが出ますよ」と、オーナー。窓の外に生い茂るゴーヤとへちまが店を涼しくします。そうか、りんごや梨のタルトがこれから出るのか。それは楽しみだな、と、すでにケーキを一個平らげているのに、思わず唾を飲み込んでしまった私。

 Cafe Ms' では、サラダにもできる限り、自家菜園で採れた無農薬の野菜を使っているんだそう。オーナーが指し示した窓の外には、ピザのトッピングにも使われているという、ゴーヤのつるが生い茂っていた。

焙煎講座も時々行います。  コーヒーの奥深さをできるだけ多くの人に知ってもらおうと、オーナーは、機会があれば、珈琲についての公開講座を開いているそうだ。数日後にも、近くの公民館で「美味しいコーヒーの淹れ方」講座があることを教えてくれた。

 うーん、私ももうちょっとコーヒーについて知りたくなってきた。このお店にもう何回か通って、ぜひ美味しいコーヒーの秘訣を探ってみようっと。

 この日は久々に会った友人とすっかり店に長居してしまった。出がけに、すでに9歳のエムズのアイドル犬、ハナちゃんが見送ってくれた。老犬とは思えない、目を見張る美貌に、さすがの私も、負けてしまいそう…。
 こうして、時には「犬の手」も借りながら、Cafe Ms' は毎日美味しいコーヒーで来客をもてなしているのだろう。






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